たまにね。
びっくりするんですよ。
え、なんでそんなとこおるん?って。
さっきまでなかったはずなのに落ちてる!みたいな。
白い床の上はダメだってさ、あれほど言ったじゃん。
他の人に見つかっちまうからってさ。
誰かの気配があるのに発見した時なんて、こちとら居たたまれない気持ちになるっつーかね、うん。
存在感ありすぎなわけですよ。
いやマジで。
なんの話ししてるかって
陰毛の話です。
いや、もう彼らはさ材質からして他の毛とは一線を画してるわけです。
個人差が大きいと思うので、ここは僭越ながら私の話ですが。
なんであんな縮れっとるんですか?
しかも他の体毛に比べて明らか太くて強いよね。
それが縮れとるんよ。もう存在感しかない。
なんかピンッとしてる。
他の体毛はちょっと猫背気味にだるーんとしてるのに対して、コイツはめっちゃ姿勢いい。
いや縮れてるんだけどさ。
なんつーか、一本芯が通ってるっていうのかな。
縮れたあの形から変わらないもんね。
だからすぐ、分かるのよ。
あーはいはい、アナタねって。
こんなとこにいたのね、って。
床とかに落ちてるとかならまぁ、分かる。
自然現象で落ちることもあるだろうよ、って。
生え変わりの時期だったのかもしれないよね、って。
でもさ
財布から出てくるのはおかしくね。
いやいやいや、どういうルート?
どうやって潜入したん?
凄腕のスパイもビックリの潜入術ですけれども。
いや、もうさ。
コンビニのレジで固まった。
財布のお札入れるとこから、一本ピローンって出てきたわけ。
もうね、存在感がすごい。
私の毛すごいの。侮らないでね。
千円札出そうもんなら、同伴します〜つってついてくんの。
いやいやいや。
アカンって。お前ついてきたらアカンって。
気づいちゃうから。店員さん気づいちゃうから。
一瞬、サッとお札出して、毛も一緒に出して床に落とそう、とかも考えたんだけどさ。
失敗してコンビニのあの白いカウンターに乗ってしまったらもう取り返しつかないじゃないですか。
いや、私知りませんみたいな顔で会計しなきゃいけないわけじゃないですか。
でも店員さんは絶対気づくと思うのよね。
あ、こいつ陰毛落としたって。
そんなん、ここは地獄ですか?って空気になるわけじゃない。
そういう未来をね、瞬時に見たわけですよ私の千里眼は。
そんなわけでですね、私は違う千円札を出してお弁当をチンしてもらってる間、外に出て、光の速さで陰毛ちゃんを外の世界に羽ばたかせてあげましたとも。
あなたに狭い世界は似合わない。
私もアナタみたいな芯のある人生を歩んでいきたい、そう思った午後のことでした。
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